開発事例
Raspberry Pi®
カスタムキャリアボード
導入領域:
設計
開発/実装
提供種別:
組込み製品
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関連製品・サービス
開発課題
- PCのUSBから給電する場合、ラズベリーパイ自体のUSB出力電圧がドロップする
(入力側の電力不足で、ラズベリーパイ自体が低電圧状態に陥る事も…) - ラズベリーパイの電源入力端子がmicroUSBコネクターの為、振動で接触不良を起こしやすい(抜けやすい)
-
CPU負荷が高くなると熱暴走を起こす(CPU周波数が落ちても熱暴走する場合あり)
CPUだけでなく、USB HUB(+LANブリッジ)も熱に弱い
→ 適切な冷却機構が必須 - 電源シャットダウン時に正しくOFFしないとファイルシステムが壊れる
- SDカードは寿命部品なので工夫が必要(産業用グレード選択、リードオンリー対応等)
- ラズベリーパイ基板が静電気に弱い(基板GNDが弱く静電気不良を起こしやすい為、ケースでの対策必要)
- 最終製品として、HDMIを出力する製品とする場合はロイヤリティの支払いが必要
- Raspberry Pi OSインストール時にラズベリーパイ財団のMACアドレスが自動で付与される
- その他、ロゴ、フォントに関してトレードマークルールの遵守が必要
課題解決
課題事項の解消を考慮しながら、ラズベリーパイ用カスタムキャリアボードを試作開発。
※
試作基板自体を販売する事はできませんが、試作した事によるノウハウを受託開発サービスにフィードバックしています
推奨環境
コンピュートモジュール「Raspberry Pi® CM3+」及びキャリアボードでの使用を推奨。
※
必要に応じて通常のラズベリーパイを使用した受託開発の相談も承ります
コンピュートモジュール「Raspberry Pi® CM3+」について
ラズベリーパイ財団より、組込み用途のラズベリーパイとして販売中。
基板上にはCPU、メモリー、eMMCのみが実装されており、SO-DIMMのフォームファクタに対応したモジュール。
ラズベリーパイ3B+に対応。
- 通常のCM3+・・・4GB eMMC実装
- CM3+ライト・・・eMMC未実装
基板設計
回路設計、パターン設計(パターンシミュレーション、電源GND共振解析)、試作基板の作成まで実施(一部、協力外注による対応※)。
今までの受託開発のノウハウから、バイパスコンデンサの配置、外部I/O用フレームGNDの島分け等、EMC(EMI/EMS)を考慮した部品の配置指示から行う、安心の設計対応。
※
パターン設計、試作基板作成は外注で対応
必要電源の供給
ACアダプターからの電源供給とすることで、安定した電源供給を実現。
キャリアボード上のUSBコネクターからの出力電流をUSB2.0の規格どおり500mAに制限することで、出力電流過多による電圧ドロップも抑制。
また、端子台型のコネクターでACアダプターからの電源供給をすることで、振動によるコネクター接触不良対策も行った。
放熱処理
筐体に熱を逃がせるよう、基板裏面にコンピュートモジュール用のコネクターを配置。
eMMC実装
SDカードの持ち去りや振動による接触不良対策に、産業用eMMCを実装。
キャリアボード上のmicro USBコネクターを経由して、eMMCへの書き込みを行える設計を実施。
静電気保護
キャリアボード上のコネクターには、静電気保護用のダイオードを実装。
MACアドレス
自社のMACアドレスをOS側に書き込み。
HATインタフェース
ラズベリーパイ用にサードパーティーが作成したHAT対応基板を実装可能。
LTEモジュール対応
mini-PCIエクスプレスコネクターを実装(信号はUSBでの接続)し、LTEモジュールに対応可能とした。
別途SIMスロットも準備。
オプション
ラズベリーパイカメラ 取り付け可能。
仕様
- 基板サイズ 100x85mm
- DC in 12V (端子台)
- RTC (コイン電池 or 樽型電池)
- HDMI出力
- 2xUSB2.0 Type-A
- USB2.0 4pin Header
- 10/100 Ethernet®
- eMMC ・・・ 8GB実装
- HAT connector
- LTE ・・・ mini PCI Express slotで対応(コネクターのみ実装)
- Camera I/F ・・・ CSI(cam0)
外形イメージ図
通常のラズベリーパイは2方向に外部I/Oがあるので組み立て性が悪く、筐体設計も難しくなっている。
試作基板では、ケース設計を考慮し 外部I/Oを基板片側に集約。
また、基板の取付穴にもGNDを用意し、ケースとGNDを接続することでシールド性能の向上を確保。
開発を通じてわかったこと
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Raspberry Pi® 3B+で使用されているGbit LANチップそのものを購入できない
→ USB2.0からGbit LANへ変換するチップは購入可能であるが USB-HUBが内蔵されない為、2チップ構成になる -
コンピュートモジュールのデータシートに情報が少ない
→ 高温に弱いが、CPUパッケージ温度等の情報が記載されていない
実験をしながらヒートシンク選定を行う必要がある -
コンピュートモジュールの供給期間
→ ラズベリーパイ財団の公表によると、CM3 は2023年1月まで販売、CM3+ は2026年1月まで販売 -
キャリアボード上のeMMCとコンピュートモジュールのeMMCは同時アクセスできない
→ 物理的にセパレートされている
起動ストレージ用のSDカードインタフェースは、ひとつしかないので、仕様検討時にどのようなストレージ構成にするか予め決定しておく必要がある
抵抗 未実装
内部eMMCとCPUは接続されている
外部eMMCとは接続されない
抵抗実装
内部eMMCは未実装
外部とは抵抗で接続される